どうして東進ハイスクールは短期間で人気予備校になったのか?
東進ハイスクールは、短い期間で大躍進した大学受験予備校です。現役生中心の予備校であるため、初期の頃は高校生を受け入れる学習塾のひとつというイメージを持たれることもあったようです。できてしばらくは、三大予備校が全盛期を迎える中で、マイナーな存在として見られがちではありましたが、今や押しも押されぬ有名予備校となっています。
短期間でここまでの地位を得るに至った理由は、効率最優先の姿勢に徹したことでしょう。予備校と言えば、学校法人が運営するのが通例であった時代に、株式会社形式で運営を始めたくらいですから、前例にとらわれず、合理主義に徹するという精神に貫かれていた企業のようです。
その徹底ぶりは、見事と言えるものでした。なにしろ、有名講師による授業のインターネット配信をおこない、生授業をすべて廃止してしまったのですから。これはなかなかできることではありません。しかし、多くの生徒や保護者が望んでいたことでした。
生徒や保護者は大歓迎し、このシステムを導入したフランチャイズ店ならぬフランチャイズ教室は今や全国におよそ1000校も存在します。平均して大雑把に言うと、どこの都道府県内にもおよそ21校づつあるということになりますから、たいへんな普及率です。
コンビニとは違います。固定客とも言える生徒をしっかりと確保しての21教室ですからたいしたものです。
衛星予備校が短期間に1000校にもなった理由とは?
需要をしっかりと把握し、それに応えるサービスを提供すれば、かくも短期間にこれほどの躍進ができるという見本のようなものでしょう。そう、日本各地に住む生徒や保護者は、住む場所によって受けられる教育に違いがあることに不満を持っていました。
飛行機で都内の有名予備校に通うということが、誰にでもできるわけではありません。東進ハイスクールは、全国の高校生用の学習塾とフランチャイズ契約を結び、衛星予備校とし、衛星予備校には東進ハイスクールの有名講師の授業をインターネット配信するようにしました。これで日本のどこに住んでいても、都内と同じ授業が受けられるようになりました。
都内の授業ならいいのか、地方の塾の講師も優秀だという声もあることでしょう。もちろん従来通り、各教室で雇った講師が授業をするという塾も存在し、生徒を集めています。しかし、衛星予備校のような選択肢ができるのは歓迎すべきことです。
生徒と保護者が、従来通りの塾と衛星予備校を比較し、自由に選べば良いことです。衛星予備校が短期間に1000校にもなったのは、こうしたシステムを待ち望んでいた人々がいかに多かったかを物語っていると言えるでしょう。生徒も保護者も、選び抜かれた授業が受けたいのです。学校ではかなわぬことですから、なおさらです。
東進ハイスクールも、当初は生授業をおこなっていましたが、現在は衛星予備校と同様に、有名講師の授業をインターネット配信で見せるようになっています。
生授業はもはやおこなわれていません。これが更に進むと、予備校に通う必要すらなくなり、自宅のパソコンやタブレットで授業を受ける形式になっていくかもしれません。今やインターネットの普及率は相当高くなっていますから。
しかし自宅では勉強できないからと、図書館や塾の自習室を使う例が多いわけですから、自宅配信への移行は、そうすぐには進まないとも予想されます。
東進ハイスクールの成功の秘訣とは?
東進ハイスクールの成功は、どの講師の授業も同じように価値があるという建前をかなぐり捨てたことで、もたらされたと言えそうです。インターネットが普及する前は、そういう建前が必要だったでしょうが、その時代ですら名物講師の給料が破格のものであることは知れ渡っており、講師によって授業の価値が大きく異なるというのは自明のこととなっていました。
それで人気講師のいる予備校には遠方からも生徒が集まり、儲かるので、人気講師には破格の給料を出すということがおこなわれていたわけです。その状況があって、インターネットが普及して、それで授業のインターネット配信を考えつくというのは、自然なことだったでしょう。
しかし考えついたとしても、実行に移すのは並大抵ではなかったと推察されます。他の講師がいらなくなるからです。ただ、生徒優先か、講師優先かと考えた場合、選び抜かれた授業を受けたいという生徒の希望を優先するのは、サービス業の企業としては当然だったと見られます。
(参考:東進MSGの講師についての評判)
需要に合ったサービスを提供するための株式会社でしょうから。学校法人であっても、生徒優先にすべきであるのは同じなので、できないことではなかったわけですが、東進が率先しておこなったという結果になりました。インターネットという文明の利器が登場したのですから、こうしたサービスはもっと広がっていくでしょう。
特に難関大学の受験生には、歓迎されるサービスです。映像を見るだけの授業をうまく活用できないという生徒が少なくないのも事実であり、そうした生徒には手取り足取りの対応が必要です。しかし、難関大学の受験生には、映像配信された授業が適しています。
最終更新日 2025年6月12日 by livest