■見るものを魅了するプロ野球選手のホームランシーン
プロ野球選手のホームランシーンは見る者の気分をスカッとさせてくれるくらいに爽快です。
野球を全く知らない人でもホームランという言葉は知っていて、日常の中で「大きな仕事を成し遂げた」という意味の比喩として使う人も少なくありません。
いわゆる野球用語の中でも最も有名な言葉と考えられる「ホームラン」ですが、打者の仕事はそれだけではありません。
プロ野球選手として通用するためには、ホームランを打てるだけではダメなのです。
どのようなバッターが、優秀な打者として生き残れるのか、順番に見ていきましょう。
・打率
まず、プロ野球選手の打者を評価する方法として打率というのがあります。
これは、立った打席の数とヒットの数を計算して数字を導き出すわけですが、必ずしもそれだけで打者の質が決まるわけではありません。
なぜなら野球はヒットを一本打てば1点入るというような単純なシステムではないからです。
野球には一塁、二塁、三塁、ホームベースと、4つのベースを順番に踏み進めてホームベースに帰還したときに、初めて点数が入ります。
そうすると、ヒットの多い打者は、たしかに打率は上がりますが、それだけではチームへの貢献度に直結しません。
たとえば一般的に打率が3割を超えるバッターは良く打つ選手だと評されますが、そのヒットの種類がベースをひとつしかすすめないシングルヒットばかりなのか、それとも一気にベースをいくつも駆け抜けることができる長打を打つバッターなのかで、ヒット一本の価値観が変わってくるというわけです。
長打力のある打者というのは得点に結びつく可能性が高いので、打率の数が多少悪くても、重宝されます。
ほとんどがシングルヒットの3割打者よりも、打率そのものは2割代だけど、年間で40本近くのホームランを打てる打者がいるのであれば、監督は後者の打者をレギュラーにするでしょう。
・長打率
このようなヒットの価値観の違いから、最近では計算方法を増やし、打率だけではなく、塁打数を打数で割り出して計算する「長打率」という項目が設けられ、選手のデータ分析に当てられるようになりました。
長打力のあるバッターというのは、具体的に入る点数だけではなく、どんな状況からでも一点が取れるかもしれないというプレッシャーを相手のピッチャーに与える役目も担います。
ピッチャーも人間ですから、プレッシャーを感じれば感じるほど、疲労も早く蓄積します。
厄介なピッチャーを早くマウンドから引きずり下ろすためにも、長打力のある打者というのはチームにとって必要不可欠になるというわけです。
・選球眼
さて、打者の質は見た目の派手さからか、いかに良く打つかという点ばかりに注目が集まってしまいます。
しかしながら、打者の仕事はバットを振るだけではありません。
ボールを見極める選球眼も必要なのです。
ピッチャー対バッターの勝負の構図は、ストライクを3つ取ればピッチャーの勝ち、ヒットやホームランを打つか、フォアボール、あるいは死球で1塁へ進塁となればバッターの価値です。
つまり、投げられた球すべてに手を出す必要はなく、ボール球には手を出さないという瞬時の判断も求められるわけです。
例えば元中日ドラゴンズの山本昌投手のフォークボールはストライクゾーンからボールゾーンに玉が動きます。
こういった玉は見逃さないとバットを振っても当たることは稀です。
ちなみにボール球というのは基本的にヒットが打てないところでキャッチャーのミットに収まった場合を前提に設定されています。
稀にヒットになる場合もありますが、基本的にボール球に手を出してもアウトになる確率が高いわけです。
きわどいところをきっちりと見送り、ピッチャーの失投を逃さず捉えることができるバッターこそ、優秀な打者として認められます。
引用:山本昌事務所問い合わせ
バッテリーの心理としては当然、ストライクはコーナーぎりぎりのところで取りたいと作戦を立てるところです。
ボール球を振らせれば、空振りするか、もしバットに当たっても凡打になる可能性が高いからです。
そのぎりぎりのゾーンをついたときに、悠然と見極められて手を出さない打者と対峙すると、バッテリーはてこずります。
結果、フォアボールを与えるか、ストライクが甘いところに入ってしまい、そこを打ち返されてしまうことになってしまいます。
つまり、良い打者の条件というのは長打力があることと、選球眼があることといえるでしょう。
■助っ人外国人の見極め方の重要性
日本のプロ野球チームは毎年海外から助っ人外国人をスカウトしてきます。
スカウトマンが見極めるのは、もちろん打率でもありますが、それ以上に無駄な空振りをしていないかに注目しています。
とくに欧米の選手は日本人に比べて体格が大きいので、力任せのバッティングをする選手が少なくありません。
空振りをする動きも、ダイナミックです。
ピッチャーの心理に立ってみると、自分の投げた球が盛大な空振りになると気持ちが良いものです。
また、動きが大きいと、タイミングが合っていないことがバッテリーに分かりやすく伝わります。
よって、攻めの戦略が立てやすくなるのです。
そういうわけで、パワー系の助っ人外国人をスカウトするときでも、空振りの仕方が豪快でないか、きちんと選球眼を持って見極められているかがポイントになっているというわけです。
最終更新日 2025年6月12日 by livest